僕は夜の民

よまいごと広場
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僕は夜の民

僕は夜の民

陽が沈んで暗くなった頃に調子がよくなる。

何とも不思議で不安だ。

まるで人間ではないかと錯覚する。

いけないことをしていないのにこの時間に起きていること自体

いけないことのように思える。

しかし、大半は起きていないのだから

うるさくしなければ誰にも怒られない。

夜の民はうるさくすることはない。

仮にいたとしたらそれは偽物だ。

夜を自分に染めようとしているだけの痛い連中だ。

いつも

僕らはいつも

夜に目が冴えて眠れない

夜に新しいことを思いつく

夜に部屋を片付けたがる

何かを思い出し、何かをする。

僕の世界は無限に広がってゆく

夜の暗闇の中で昼のように部屋を明るくし、

そこには僕だけの世界がある。

しかし

しかし、その世界は一度途切れる。

終わるわけではない、途切れるのだ。

朝がくれば出勤し、朝の民と混じり合う。

そして、日常に溶け込んでゆく。

時にまだ眠いままに行動していかなければならない。

その日々に嫌気がさすこともある。

もしくは、自分が朝の民になれればいいのにと考えることもある。

それでも

それでも、僕は夜の民で居続けるつもりだ。

日常の後に訪れる自分だけの世界が楽しみだからだ。

その世界はいつでも自分を裏切らず、

安心していれる居場所だ。

今日も自分だけの世界で何をしようかな?

僕はベランダで夜の空を見ながら考えていた。

この作品はフィクションです。
作中の人物は架空であり、実際の人物・団体とは一切関係ありません。

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