知らない大御所②

創作ストーリー

 その後も、何度か司会者にコメントを振られ、CMのあと、〇〇が! っていうのが流れるシーンでもおばさ……その人は

大御所の人
大御所の人

日本のアニソンは凄い!

といってCMに行くというのが3回ぐらいあった。

 しかし、テレビを見てて、自分の知らない人が出てくることなんてよくある。

 ただ、この番組では、司会者は有名芸人だし、ゲストは3人いて、アニオタの女性アイドル、役者としても歌手としても大活躍している男性声優と知っている人が揃っているが、あの人だけ分からん……。

「いつ見ても、泣けるなぁ……。ネロとパトラッシュが天国に行くの……。」

 いや、お前は「フランダースの犬」の世代じゃないだろ。

「うわー、こんな回があったんだ。ばいきんまんがアンパンマンの中身をつぶあんからこしあんに変えようとしてる。」

 いや、変えてもアンパンには変わりないやろ。てか、アンパンチされて終わりだろ。

 原田は、あの大御所は気にせず、いつしか番組に夢中になっていた。

俺もアニソンは好きだったのでいつしか原田と一緒で、スマホそっちのけで見るようになっていた。

たまに大御所が喋るが、何回かに一回、大御所の顔の下のあたりに「吉田悦子」という名前が出ていた。

「なぁ、あの人、吉田悦子だって。」

 原田が俺に話しかけたが、何故だろう、どうでもよかった。

 喉元過ぎれば熱さを忘れるというものなのか、そのとき、気になっていたものが時間が経てばどうでもよくなる。別に何も飲み込んだような覚えはないが……。

 原田は、吉田悦子をスマホで調べていた。

「へぇ、何かさ、日本初のアニソンロックシンガーだって。」

「アニソンを始めて歌った人ってことか?」

「いや、ロックなアニソンを初めて歌った人らしいぜ。」

「へぇ……。」

 アニソンロックシンガーね……。まぁ『紅蓮華』の大先輩ってことだな。

 俺と原田はアニソン特集を終わるまで見て、その後、外に出て、ご飯を食べて、その日は別れた。

 それから、俺は仕事で戸越銀座の近くを歩いていた、商店街のそばを通り過ぎているとカメラや大勢の人が集まっていた。

 戸越銀座は街ブラロケが多い。なので、大きいカメラがあれば恐らくテレビなんだろうなと思った。ちょっと気になったので、近づいてみるとやっぱりテレビの撮影だった。

 そして、スタッフの集団の中に見覚えのある60代女性が立っていた。

 吉田悦子だ。

 吉田悦子はコロッケを手にしている。そして、スタッフが撮影開始の合図を出す。

 すると、吉田悦子

吉田悦子
吉田悦子

日本のコロッケは凄い!

と言っていた。

 いや、こいつ、何に対しても言うのかよ。

この作品はフィクションです。
作品中の人物名・団体名は架空であり
実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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