知らない大御所①

創作ストーリー

「それでは、伝説のアニソンをカムバック!」

 パリパリパリ……。

 俺の友達の原田がポテチを食いながら、テレビを何となく見ている。

 俺は、その横でテレビの音を聞きながらスマホをポチポチといじっている。

 今は、土曜の昼。最近、俺が引っ越したことを原田に言ったら、今度行ってみたいと言われたので、お互い休みの日に原田を招いてやった。

 原田が来るので、お菓子を前もって用意していたら、原田がお菓子を持ってきていた。

 俺んちに来る前に買ってきたと言っていた。やはり、考えることは同じようだ。

 原田とは、高校からの友達で、高1から同じクラスだった。

 俺は野球部、原田は剣道部だったが、どちらも弱小な部活。大会でも1回戦で負けるか、上手く行っても2回戦で負けるかで、2人とも同じような境遇なので自然に打ち解けた。

 好きなものも一緒で、お互いに家に遊びに行くような仲であった。

 社会人になっても、定期的に会って飲みに行ったり、遊びに行ったりする。

 原田は俺の引っ越した家に来たら、すぐに

「へぇ、広くていいじゃん。」と言った。

「おう、まぁな。まだ開けてない段ボールもあるし、駅からはちょっと歩くけどな。」

 俺は原田の言葉に返し、不満な部分を言った。

「確かにな。でもさ、見つけたんだけどさ。近くに、カラオケボックスとかあるってめっちゃ良くない? 最高じゃん。」

「いや、俺はバッティングセンターの方が良かったわ。」

「そっか、お前野球部だったもんな。はぁ、俺と家交換しね?」

「お前、実家だろ。」

 などと言いながら、部屋に入り、原田は俺が用意していたクッションに座る。

 俺は、何となくテレビをつけた。友達もきたし、何か音を出して気分を高めようとしたくなったから。

 そして、テレビをつけると再放送でアニソンの特集をしていた。過去の名曲と最近の曲を混ぜて流している。何曲か流れた後、スタジオのシーンになり、司会者と恐らくアニソンに関わっているであろうゲストが映り、やりとりしている。

 俺と原田は何となくテレビを見ながら、喋っていた。

「最近、仕事どうなん?」

 原田がポテチを食べながら聞いてきた。原田はポテチのかけらを床にこぼしている。

 いや、そこは後で俺が掃除するんだぞ。新居で何汚してんだよと思うが、友達だし、原田は……。若干、ガサツなところがあるので少し目を瞑る。

「もうバリバリって感じ。3週間後に出張行くし。」

「おぉ、ちゃんと会社員やってますなー。」

「お前はどうなんだよ。」

「俺は、ぼちぼち平常運転だよ。まっ、出張も転勤もないからさ荷物の準備するようなこともないから楽だけどねー。」

 そんなときに、ふと、テレビでは司会者とゲストがやり取りしている。

「さあ、これまで様々なアニソンを振り返ってきましたが、いかがですか?」

大御所の人
大御所の人

そうですね。やはり年々進化していますね。アニソンもジャンルが多様化していますし……。日本のアニソンは凄い!

「ありがとうございます。実はなんと先ほどの曲の中から1曲、本人がスタジオで歌ってくれるそうです!」

 さっき、司会者に話を振られていた人は、60代くらいだろうか。歳のわりに割と化粧をしていて、衣装も赤茶色っぽいワンピースを着て、上品な感じで座っていた。

 そして、最後の

大御所の人
大御所の人

日本のアニソンは凄い!

はさっきまで喋っていた口調と違って、力を込めて喋っていた。

 ただ、この人は誰なんだ。歌手の人……?

 大御所っぽいけど、誰なんだ? 原田にも聞いてみるか。

「なぁ、今喋ってた人知ってる?」

「ん、誰? 聞いてなかったわ。」

「ああ……。司会者に近い席に座っている……。あ、この人。」

 丁度、その人がカメラに単独で映ったのでそのタイミングで指をさし、原田に教える。

「いやぁ、知らないな……。誰だろう?」

後半へ続く

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