西暦2100年
「田中、またここ間違えてるぞ!」
「すみません! 修正します。」
僕は田中春樹。入社3年目のサラリーマンである。
注意不足が多く、よくミスをしてしまう。
ミスをしないように意識しているものの注意力が欠けているのか、どうも治らない。
それに鈍くさくてよく会社のデスクや壁にぶつかったり、よく転ぶ。
何でだろうと考えると、僕はいつもテンパっていることが多い。
突然の来客や電話に対応することがあり、
そのときにやっていた仕事を後に回し、
いつも対応が終わったところでまた違う対応をすることがあり、
いくつも仕事を抱えてしまう。
また、部長から別の仕事を振られたりすると元々やっていた仕事がどこまで進んでいたか分からなくなってしまう。
それで、よくチェックせず進めてミスしてしまうといったように分析する。
今は、ミスして謝ることに慣れてしまっていた。
半年くらい前には仕事があっていないのかもしれないと思って転職サイトを見たり、
IT求人ナビ転職で登録してみて、IT研修を受けてみようかなとか思ったり、
いっそのこと、単調な仕事が多いと言われている工場の仕事にして
工場・製造系専門求人サイト【工場WORKER】で見つけてみるとか
それか、注意力不足は発達障害か何かかもしれないと思い、メンタルクリニックにも行ってみたりした。
しかし、転職サイトを見ても向いてそうな仕事はなさそうだし、クリニックに行っても「あなたは正常です」と言われたので今は諦めている。
それに、この会社を辞めたいわけではない。なぜなら、僕のいる部署には僕の好きな子がいるからだ。
「田中さん、気にしなくていいですよ。私も同じようなミスしますから。」
修正している僕に話しかけてきたのは、同じ部署に配属している佐々木留美。
1年後輩で隣のデスクで仕事している。
留美ちゃんは、美人で周りの男性から言い寄られている。僕も片想いしていて、いつかは付き合いたいと思っているんだが、
こんなミスだらけの先輩なんて嫌だろう。
留美ちゃんは顔だけでなく性格もよくて、素直で明るい。
誰かが体調が悪かったり、ミスしたりするとその人を励ます優しい子である。
僕にも、ミスした後に励ましてくれることがある。
もし、僕が仕事できる人間であれば、付き合えるのかなぁ……。
そんなことを毎日考えている。
休憩中の話
ある休憩で、同じく同期の加藤と一緒に社食をとった。
会社には食堂があり、そこで社食を食べることができる。
ご飯を食べていると、食堂の端の上から吊るされているテレビでニュースが流れていた。
内容は小型のタイムマシンが来週、販売されるというニュースだった。
今から30年前、初めてタイムマシンが実現し、世間に影響を与えた。
そのときは、初期のコンピューターのように巨大な装置で、実用的に使えるためにより小型化することをメーカーは求めていた。
小型化の開発が進み、ついに、今
小型化したタイムマシンを販売するようになった。
しかし、価格は500万で、一般人には到底手の届かないものである。
街のインタビューが流れ、
「夢みたいですね。でも、500万なんて私には買えないです。」
「もし、タイムマシンがあったら、未来に行ってこの先自分がどうなっているか見てみたいですね。」
「僕は、うーん、あっても使わないと思います。」
「うーん、そうですねぇ、過去に行って自分が産まれたときの瞬間を見てみたいです。」
「何か、使った影響で自分がえらいことになってしまわないか心配ですね。」
同期の加藤はタイムマシンのニュースを見て、僕に
「タイムマシンいいなぁ。俺も欲し―。」
と言ってきた。
「手に入れたらどうするつもりだよ。」
「そうだな、俺は未来に行って自分がどんな状況になってるか見に行く。んで、それを見て今しなきゃいけないことを考えるって感じかな。」
加藤はすらすらと話した。どうやらこういうの日頃からよく考えてるな。
「田中はどうする?」
「うーん、僕は過去に戻ってミスを訂正したい。そしたら、ミスを指摘されないだろ?」
「まぁ、そうだな。」
話していると、タイムマシンのニュースは終わり、次の話題になった。
ある休日
僕はスーパーで買い物をしていた。
そこでは、レシートの金額が1000円以上でくじが引けるキャンペーンをしていた。
そして、1000円につきくじが1回引けるというものだったので
2000円以上買い物したら2回引けるということだった。
僕は、食料品で3000円ほど買っていたので3回引ける。
くじの会場に行って、商品を見ると何と、1等の商品として500万の小型タイムマシンがあった。
続く
この作品はフィクションです。 作中の人物は架空であり、実際の人物・団体とは一切関係ありません。
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