リツイートの王
休みの昼
「うーん、今日はどうしようかなぁ……。」
休みの日の晴れ間、俺は今日をどう過ごすか若干の眠気もありつつ考えていた。
とりあえず、パンをかじった。さあ、これからどうするか?
特に趣味がない俺にとっては、人生最大の悩みかつ、楽しみでもある。
いつもより遅めに起きているのもあってか、考えていたら、テレビから昼間の再放送の音が聞こえてきた。
このとき、俺は昼になったことを知る……。
ふと、テレビを見ると、バラエティ番組の再放送らしきものをやっていた。
リツイートの王
仕事の日は、テレビをあまり見ないので再放送でも新鮮に感じる。
その番組では、巷で話題になっている人にインタビューをするという内容だった。
今日の再放送では、「リツイートの王」という男性が紹介されていた。
「リツイートの王ね……。」
俺は独り言を漏らした。たくさんの人からリツイートされたインフルエンサーかなんかなのか。
正直、平凡な俺とは住む世界が違うだろうな。そう思っていたら、司会者が
「彼は、日本一リツイートをしたという記録を保持しています!」
と言った。
いや、される側じゃなくてした側かい! リツイートをしまくってテレビ出たのかよ。しまくったところで何がすごいんだよ。こいつを取り上げるテレビもどうかしてるな……。
そう思っていたら、さらに、司会者は
「ちなみに、フォロワーは何人いらっしゃるんですか。」と聞くと、王は
「3人です。」
いや、少なっ! リツイートする意味あんのか?
そして、話題は変わり、司会者が「なぜ、リツイートしようと思ったのですか?」と王に訊く。
「やっぱり、いいツイートはみんなで共有すべきじゃないですか。」
いや、お前フォロワー3人だろ。
「いいツイートを見たら、リツイートしたくなるんですよ。」
「いいね」を知らんのか、お前は。
「Twitterって始めたはいいものの、そのあと放置する人って多いじゃないですか。
もったいないなって思って……。
放置するならリツイートした方がいいと思うんですよ。
そしたら、いいツイートが循環されてTwitter全体が潤うんですよ。」
いや、下水道みたいに言うなよ。長文喋ってたけど中身が全然なかったぞ。
それに対して司会者が「は、はぁ……。」と心のこもっていない返事をした。
いや、司会者困らせるなよ。
さいごに
そして、司会者が
「最後に、何か伝えたいことはありますか?」と訊くと、あいつは
「そうですね。せっかくなら放置せずにリツイートしてください! リツイートならボタンを押すだけなので、自分で考える必要もないのでね。ぜひ、今からでもやってみてください!」
やたらと推してくるなぁ、リツイートを。
まぁ、何か彼のインタビュー聞いてたら、彼のアカウントを見てみたくなったなぁ……。
どんなツイートをリツイートしてるんだろう……。
俺は気になって、スマホでTwitterを開き、彼の名前を調べた。
検索で一番上に出てきて、開いてみると、俺は固まった。
スマホの画面には
「アカウントが凍結されました。」
ちなみに、リツイートとは?1日何件までできるの?
リツイートとはTwitterで他の人のツイートもしくは自分のツイートを自分のアカウントからまたツイートすることです。
他の人のツイートをリツイートすることで、自分のアカウントをフォローしている人に見てもらうことができます。
そして、リツイートの件数は制限があって、
どうやら、リツイートを含むツイートは1アカウントでできるのが1日2400件とのこと。
なので、自分からはツイートせずリツイートだけということであれば1日にできるのは2400ツイート
そして、一気に2400件、リツイートすると凍結されます。
30分単位で何件までというのが決められているようで、その件数に達したら、2、3時間経ってからでないと凍結されます。
以上のことを守らないとリツイートの王みたいに凍結されて、アカウントが使えなくなってしまうので、くれぐれも気を付けてくださいね。
詳しくはTwitterのヘルプから!
この作品はフィクションです。 作中の人物は架空であり、実際の人物・団体とは一切関係ありません。
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