ボーイッシュ

創作ストーリー
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はじまり

寒い季節が終わり、日差しが照り付け始めるこの時期

若干の肌寒さを残しつつ、桜が満開を過ぎ、早いところでは葉っぱが出始めている。

この時期になると新しい出会いがどこにでもあり、皆、ワクワクしたりソワソワしたり複雑な気持ちで過ごしている。

それは、彼女たちが通う女子高校でも変わらない。

さえちゃん
さえちゃん

ねぇ、かでちゃん。昨日のカラオケ楽しかったね。

ここで仲良くなった友達と行けてよかったー。

かでちゃん
かでちゃん

そうだね、さえちゃん。

でも、カラオケボックスの決まりでマスク着用で歌わないといけないし、

マイクを誰かに渡すとき、その都度アルコール消毒しないといけなかったから

そこはちょっとね……。

さえちゃん
さえちゃん

まぁね。早く普通に楽しめるようにならないかなぁ……。

ある昼休みの教室で、2人の女子高生が喋っている。

さえちゃんとかでちゃんは中学からの友達で、高校も同じ高校に進学した。

彼女たちは偶然同じクラスになった。

2人はクラス発表のとき、とても喜んだ。

そして、新しいクラスメイトとも仲良くなり、友達が増え

とても楽しい日々を送っているようだ。

女の人
女の人

左衛門三郎さんって言うんだー。男っぽいね。

さえちゃん
さえちゃん

そうなんだよねー。長いからさえちゃんて呼んでー。

かでちゃん
かでちゃん

私も勘解由小路って長い苗字だから、中学の時はかでちゃんって呼ばれてたよ。

女の人
女の人

そうなんだー。さえちゃんとかでちゃんね。覚えたよ!

といった風に、最初は人となりを喋りつつ、遊ぶようになり始め、1週間ほど経った。

今は、昼ごはんが終わり、5時間目の授業が始まる前の時間だった。

他のクラスに遊びに行く者や、教室で友達の席の近くでだらだらと喋る者がいて、各々過ごしている。

さえちゃんとかでちゃんは後者である。

もちろん、2人だけではなく、何人か友達と固まって喋っていた。

さえちゃんが何かに気づいた。

あの子

さえちゃん
さえちゃん

あの子、一人で何かキョロキョロしてるよね。

かでちゃん
かでちゃん

え、どの子?

かでちゃんはさえちゃんの指さす方向を見る。

さえちゃん
さえちゃん

あそこのショートカットの子。まだ他のクラスの子と打ち解けてないのかな?

かでちゃん
かでちゃん

確かに、まだ1週間しか経ってないしね。

友達の輪に入り損ねちゃったとかあるもんね。でも……、あの子何かそんな感じじゃない気がするんだけど……。

かでちゃんはショートカットの子を疑いの目で見た。さえちゃんはそれを気にせず、かでちゃんに喋る。

さえちゃん
さえちゃん

何かショートカットっていいよね。お手入れがロングよりも楽だよね。

かでちゃん
かでちゃん

ショートね、楽だよ。私、今はちょっと長めだけど、お手入れの時間短縮するよ。

さえちゃん
さえちゃん

やっぱりそうなんだー。いっそのこと、坊主にしてみようかなぁー。

かでちゃん
かでちゃん

それはやりすぎだからー。

何かあの子って、ショートカットはショートカットなんだけど、

女の子にしては短すぎるような……。何か男の子っぽい感じがするんだよね……。

さえちゃん
さえちゃん

ボーイッシュってやつだね。何か憧れるな……。

さえちゃんはそのボーイッシュな子に憧れの目で見ている。一方で、かでちゃんは歯に何かが挟まったような顔で、少し腑に落ちないといった感じでボーイッシュな子を見ていた。

さえちゃんはその子を見て

さえちゃん
さえちゃん

何か、あの子って体ががっしり目に見えない? 

何かスポーツしてるのかなぁ。そこもボーイッシュだね。

かでちゃん
かでちゃん

うーん、何かガタイよすぎじゃない? 

ボーイッシュていうか男の子そのものって感じ?

さえちゃん
さえちゃん

そう? すごいアスリート女子かもしれないよ?

バスケで全国行ったとかいう子かもしれないし。

それならああいう体格でもおかしくないんじゃない?

かでちゃん
かでちゃん

そうかなぁ……。

かでちゃんはより怪訝そうな顔をした。

すると、そのボーイッシュは席を立った。

うごいた

ボーイッシュは近くにいる2人とは違う方向にいるクラスメイトに話しかける。

話しかけたのは窓側に3人組で喋ってた子たちだ。さえちゃんとかでちゃんの距離からは会話が微かに聞こえるもののはっきりとは聞こえない。

さえちゃん
さえちゃん

何喋ってるんだろうね?

さえちゃんが言った。

そのとき、開けていた窓から突風が吹いてきて、ボーイッシュのスカートがひらりとめくれた。

さえちゃんとかでちゃんのいるところからみると、ボーイッシュは前を向いていた。

さえちゃんはスカートがめくれたボーイッシュを見ていた。

この瞬間はなぜかスローモーションのように時間が過ぎる。ボーイッシュのスカートがめくれ、女子生徒の絶対に見られない領域、すなわち、太もものさらに奥が一瞬だが晒された。

さえちゃんはその一瞬を見逃さなかった。

さえちゃんはその部分をみると、ウワォという顔をした。

何かを見てしまったのだろうか。そして、その一瞬を見ようとするさえちゃんに

わずかながら変態の気質が感じられる。可愛い彼女にはその道には進んでほしくないものだ。

驚いた反応をしたさえちゃんをかでちゃんは不快と心配が入り混じったような顔をしていた。

かでちゃん
かでちゃん

ねぇ、どうしたの?

さえちゃん
さえちゃん

今、一瞬見えたんだけど……。股間がもっこりしてた。

かでちゃん
かでちゃん

いや、なに見てんのよ!

いろんな意味でおわり

かでちゃんは驚いて大声を出してしまった。さえちゃんはかでちゃんに静かにという意味で自分の口に人差し指をあて、シーをした。

さえちゃん
さえちゃん

ちょっと、大きいよ……。

何か見えちゃった。そこもボーイッシュなんだね。本当に女の子だとしたらね。

かでちゃん
かでちゃん

もうボーイッシュじゃないじゃん。男やん……。

さえちゃん
さえちゃん

あ、見て、さっき話してた女の子の一人が教室を走って出て行ったよ。

女の子が教室を出て、1分後、女の子が男性教師を連れてきた。

さえちゃん
さえちゃん

あっ、先生がボーイッシュな子を連れて行こうとしてるよ。

かでちゃん
かでちゃん

うわぁー、たぶん、わいせつなこと喋ったんだよ、きっと。

3人組の女の子たち何か顔が引きつってたからね……。

さえちゃん
さえちゃん

何かめっちゃ叫んでるね。低い声だし……。

やっぱ男の子だったんだね……。

かでちゃん
かでちゃん

うわぁ……。

さえちゃんとかでちゃんは先生に連れていかれるなんちゃってボーイッシュを冷ややかな目で見ていた。

すると、さえちゃんが落ち込んだ。

さえちゃん
さえちゃん

はぁー、男の子だったんだね。さっきLINE交換したのに残念。

かでちゃん
かでちゃん

すぐに消しな!

女子高生は素晴らしい。

女子高の中にいる彼女たちは輝きを放つ可憐な生花である。

しかし、その中に異質な造花が紛れ込んでいたようだ。

その花は生花たちに入っていても、遠目から見れば変わらないように見えるものの

近づいてみると明らかにおかしく、それは有無を言わずに抜き取られた。

そして、生花たちの輝きは守られることになった。

この作品はフィクションです。
作中の人物は架空であり、実際の人物・団体とは一切関係ありません。

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